- お知らせ
月周回有人拠点「ゲートウェイ」/国際居住棟(I-Hab)における 環境制御・生命維持装置(ECLSS)のためのバルブ開発を受託
株式会社キッツは、三菱重工業株式会社が開発に携わっている月周回有人拠点「Gateway(ゲートウェイ)」を構成する宇宙ステーションの国際居住棟(I-Hab)において、同社から宇宙飛行士の生命維持に関わるバルブの開発を受託しました。宇宙飛行士が月周回軌道上の国際居住棟(I-Hab)内で活動していくために、必要不可欠な空気の供給や気圧・温度湿度の制御、二酸化炭素又は有害ガスの除去制御を行う環境制御・生命維持(ECLSS)に装備されることを目指し、開発を行っています。
バルブ製造における量産技術とシビアな温度・圧力環境下での信頼性が評価
このたび三菱重工業株式会社から国際居住棟(I-Hab)における環境制御・生命維持装置(ECLSS)で使用されるバルブの開発委託をうけた理由として、当社が安定した品質で効率よく製品を市場に届けられる量産技術とバルブの信頼性が評価されたと考えています。また総合バルブメーカーとして長年培ってきた、素材の選別から鋳造、加工、組立、検査までの一貫生産体制による信頼性の高いブランド力を軸に、成長市場として水素の利活用を推進する水素事業に取り組んでいる点も挙げられます。
月の軌道上で、高い信頼性を求められる環境や条件下において流体制御を行い、環境制御・生命維持装置(ECLSS)を常に安定して稼働させることが今回のバルブ開発に求められています。当社は水素事業において、-253℃の液化水素や98MPaの超高圧水素の流体制御を行うバルブの開発を成功させています。こうした精緻な製造技術、高い信頼性をもつ流体制御技術の実績が評価され、宇宙開発技術という高度な技術革新が求められる領域で、三菱重工業株式会社より月面の国際居住棟(I-Hab)における環境制御・生命維持装置(ECLSS)のバルブ開発を受託しました。
今後、月面の民間利用・商用利用の機運の高まりに伴って、宇宙産業の市場規模も拡大すると予測されています。その際、月面開発に必要なエネルギーとして、月面に大量にある水を活用することが注目されています。当社はバルブメーカーとして宇宙への有人輸送に必要な技術の開発や、月面エネルギーシステム全体に関する技術課題に取り組んでいくことで、月面有人探査の成功を支援していきます。
引用: JAXA国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 G-HABゲートウェイ居住棟プロジェクトチーム 資料より
現在、当社が開発に携わっているのは、国際居住棟(I-Hab)内の酸素濃度を調整するバルブユニットです。窒素と酸素を用い、船内の圧力と酸素の分圧を宇宙飛行士が快適に過ごせる範囲内に制御する際に使用されます。(④全圧・酸素分圧制御装置)
また、国際居住棟(I-Hab)の狭い空間のなかでは、人が吐く息による二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要があります。宇宙飛行士の呼気由来等の二酸化炭素(CO₂)を除去する装置に、流体の流れを切り替えるバルブとして組み込まれます。(⑥二酸化炭素除去装置)
当バルブ開発に関するお問い合わせ先
株式会社キッツ 水素ビジネスユニット 航空宇宙研究開発グループ
email: hydrogen@kitz.co.jp
以上