コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの概要
コーポレート・ガバナンスに関する基本的考え方
キッツグループは、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させることは、企業の社会的責任を果たし、経営の効率性や透明性を高め、持続的な企業価値の向上に資するものであることを認識しています。そのため、あらゆるステークホルダーからの信頼に応え、企業の社会的使命と責任を果たすとともに、コンプライアンスを重視し、かつ経営環境の変化に対応できる適確かつ迅速なトップマネジメント及び業務執行の体制を整備し、継続的に運用することにより実効性のあるコーポレート・ガバナンスを目指します。
機関設計
キッツは、企業統治の機関設計として、監査役会設置会社の形態を採用しており、取締役会に経営に関する重要事項の意思決定と業務執行の監督に関する権限及び責任を集中させ、これに監査役会・監査役が独立した客観的な立場から取締役会に対する実効性の高い監視を行っています。

コーポレート・ガバナンスの体制
取締役会・取締役
取締役会・取締役は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の最大化を図る使命を負っています。取締役会は、当該責任を果たすため、経営全般に対する監督機能を発揮して経営の公正性・透明性を確保するほか、経営の重要な諸課題について闊達な議論を行うとともに、経営戦略や中期経営計画、年度経営計画及び経営の基本方針等の決定並びに法令、定款または取締役会規程に定める重要な事項について審議し、経営の意思決定を行っています。
また、取締役は、各業務執行取締役から定期的に業務執行の状況報告を受けることなどにより、取締役相互に職務の執行を監督しています。
取締役会は、現在、取締役7名で構成しており、経営監督機能の強化を図るため、取締役会の過半数となる4名を独立社外取締役としています。
また、取締役会は、原則として、毎月定例取締役会を、四半期ごとに決算取締役会を、必要に応じて臨時取締役会をそれぞれ開催しています。

取締役会の多様性確保
取締役会は、中長期的な企業価値向上の実現を踏まえ、取締役会の審議が多面的かつ適切に行われるためには、取締役会の多様性を確保することが重要であると考えています。
そのため、取締役会の多様性及びスキルのバランスを可視化するため、取締役のスキル・マトリックスを策定し、開示するとともに、「役員選解任方針」及び取締役のスキル・マトリックスに基づき、取締役会の役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力・専門性を全体としてバランスよく備え、ジェンダーや国際性・職歴・年齢等の面を含む多様性と適正規模の両立を実現する構成としています。
社外取締役の選任については、取締役会の意思決定機能、経営監督機能及び助言機能の強化を図るため、企業経営についての豊富な経験及び見識並びに法務に精通した人財を選任しています。なお、取締役の多様性を確保するため、女性の取締役(社外取締役)1名を選任しています。
取締役スキル・マトリックス
各取締役のこれまでの経験をもとに、特に期待する専門的な知見を有する分野について主なもの最大3つに印をつけており、有するすべての知見や経験を表すものではありません。
氏名 | 当社における地位 | 主な専門的知見・分野 | ||||||||
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企業経営 | グローバル経験 | 法務・ リスクマネジメント |
サステナビリティ (ESG) |
資本効率経営 ・財務戦略 |
モノづくり・ 品質 |
イノベーション・ DX・技術開発 |
営業・ マーケティング |
人事 人材開発 |
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堀田 康之 | 代表取締役会長 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
河野 誠 | 代表取締役社長 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
村澤 俊之 | 取締役常務執行役員 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
松本 和幸 | 社外取締役 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
天羽 稔 | 社外取締役 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
藤原 裕 | 社外取締役 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
菊間 千乃 | 社外取締役 | 〇 | 〇 | 〇 |
指名委員会・報酬委員会
取締役会は、取締役候補、監査役候補及び執行役員に係る人事並びに取締役及び執行役員の報酬について、公正性及び透明性を担保するため、過半数を独立社外取締役で構成する指名委員会及び報酬委員会を取締役会の任意の諮問機関として設置しています。
指名委員会は、当社が定める「役員選解任方針」に基づき、取締役候補、監査役候補及び執行役員の指名並びに次期役員候補者の人財育成などについて、報酬委員会は取締役及び執行役員等の報酬方針その他役員報酬に関する重要な事項について、それぞれ審議を行い、その結果を取締役会に答申しています。
指名委員会及び報酬委員会は、いずれも取締役会で選定された取締役3名以上の委員で構成(過半数は独立社外取締役で構成)され、各委員会の委員長は委員の互選により独立社外取締役の中から選定しています。なお、委員のうち1名は取締役会長(空位のときは取締役社長とする)を選定しています。
委員長 |
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委員 |
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取締役の報酬に関する基本方針・報酬体系
キッツは、取締役(社外取締役を除く)の主な機能はグループ全体の経営に対する監督であり、かつグローバルに展開する当社グループ及び各事業の業務執行の中核を担う経営層であることに鑑み、優秀な人財を当社の取締役として確保するとともに、グループ経営に対する監督機能及び短・中長期の業績向上に対するインセンティブとして有効に機能させることを踏まえ、「取締役の個人別の報酬等の内容の決定に関する方針」を定めています。この基本方針を踏まえ、取締役の報酬等の構成を定額の基本報酬、業績連動報酬(賞与)及び業績連動型株式報酬としています。
取締役会の実効性の確保
キッツは、コーポレート・ガバナンスの実効性を高め、取締役会全体の機能向上を図ることを目的として、毎年、すべての取締役及び監査役を対象としてアンケート形式による「取締役会の実効性に関する評価」を行っています。
当該アンケート調査は、コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づき、特に重要な事項について記名式の質問票を配布し、回答を得る方法で行っています。
また、取締役会は、得られた回答の集計結果及び今後の実効性改善に関する意見を踏まえ、取締役会において現状の評価結果の検証、課題の共有及び今後の改善対応などの取り組みについて議論しています。
2023年2月に実施したアンケート調査は、経営戦略の策定及び実行、サステナビリティに関する取り組み、取 締役会の構成、役員の指名・報酬、監査、社外取締役、取締役会の審議の活性化及び株主その他ステークホルダーへの対応に関する項目について行ったほか、取締役会における議論に関する意見の収集を行いました。その結果、当社の取締役会は実効性を概ね確保できているとの評価を得られました。
また、社員エンゲージメントの向上、事業ポートフォリオの管理及び株価純資産倍率の向上等について改善点を含む建設的な意見が寄せられました。今後、取締役会は当該評価の結果を踏まえ、課題の共有及び改善施策などの検討を行い、さらなる実効性の確保を図る方針です。
監査役会・監査役
監査役会・監査役は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、企業の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える企業統治体制を確立するために株主の負託を受けた独立の機関として、取締役の職務執行に係る業務監査・適法性監査及び会計監査人による計算書類等の監査方法と結果の相当性の判断を行っています。
また、取締役会における業務執行取締役の報告義務の履行状況と社外取締役を中心とした取締役相互の経営監督機能の実効性の監視に加え、意思決定プロセスと決定内容の適法性・妥当性について検証するとともに、取締役会において必要な意見を述べています。
監査役会は、監査報告書を作成するほか、監査役監査基準、監査計画及び役割分担に従って監査役監査を行うなど、取締役の職務執行を監視し、法的義務の履行状況について検証しています。また、会計監査人の品質管理体制、独立性等を確認するとともに、職務の遂行状況を監視し、その監査の結果の相当性を検証しています。また、監査役会は、会計監査人の再任の適否を事業年度ごとに審議するとともに、監査計画の相当性と監査報酬の妥当性について審議しています。
監査役会は、現在、監査役5名で構成しており、実効性の高い監査及び経営の監視機能の強化を図るため、監査役会の過半数となる3名を社外監査役(独立役員)としています。また、「役員選解任方針」を踏まえ、監査役の役割・責務を果たすために必要な知識・経験・能力・専門性を全体としてバランスよく備える構成とするとともに、財務・会計に関する十分な知見を有する者1名以上を含めることとしています。
また、監査役会の多様性を確保するため、女性の監査役(社外監査役)1名を選任しています。
監査役会の開催については、原則として毎月定例監査役会を、その他必要に応じて臨時監査役会をそれぞれ開催しています。
また、監査役会は、会計監査人及び内部監査室の三者で構成する三様監査会合を定期的に開催し、各監査機関の報告並びに監査情報の共有化及び監査要点等についての意見交換を行うなど、内部監査、会計監査及び監査役監査の3つの監査の連携を図っています。加えて、三様監査会合のうち年数回程度については、独立社外取締役を加えた四様監査・監督会合の場とし、情報の共有及び意見の交換を行うなど連携を図っています。

独立役員
キッツは、東京証券取引所の社外役員独立性判断基準よりさらに厳しい要件による「社外役員独立性判断基準」を定めています。
社外取締役及び社外監査役の全員は、当社の「社外役員独立性判断基準」及び東京証券取引所の社外役員独立性判断基準を満たしており、東京証券取引所に独立役員として届出をしています。
執行役員制度・経営会議
コーポレート戦略におけるグループの総合力を結集するため、国内外のグループ会社に係る横断的な業務執行の制度として執行役員制度を採用しており、業務執行取締役兼任者を含め13名の執行役員を選任しています。また、執行役員で構成する経営会議を毎月開催し、重要な経営課題について闊達な議論を行うとともに、重要な業務執行に関する意思決定を行っています。
取締役・監査役のサポート・トレーニング体制
取締役及び監査役に対するサポートについては、取締役会開催前に、取締役及び監査役に対し、議案などに関する情報や資料を提供するとともに、必要に応じて事前に説明を行うことにより、取締役及び監査役が会社の対処すべき経営課題を十分に理解し、適切かつ的確な意思決定ができる体制としています。また、社外役員が必要とするより詳細な情報を入手できるよう支援しています。
また、キッツは取締役・監査役のトレーニング体制を整備しています。業務執行取締役及び常勤監査役については、必要な知識の習得や自己研鑚のため、役員就任後または役員候補者の段階から外部教育機関の研修及びテーマ別に外部講師を招聘して開催する経営研究会に参加する機会を設けています。
社外役員については、社外取締役及び社外監査役がキッツ及びグループ会社について理解を深めることができるよう、各事業所見学や各事業所幹部との交流会をはじめ、グループ会社社長会やグループ技術交流会などに参画する機会やキッツ及びグループ会社の事業、財務、組織などに関する必要な知識、当社が属する業界、当社の歴史・事業概要・グループ企業理念体系・経営ビジョン・中期経営計画・ガバナンス体制・コンプライアンス体制などについて説明する機会を設けています。
なお、取締役及び監査役のトレーニング内容が適切であるか否かについての検証は、取締役会の実効性に関するアンケート等において意見の集約を図るとともに、必要な改善を加えることとしています。
株主・投資家との対話
キッツは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには、経営の受託者としての説明責任を認識し、株主及び投資家の皆様との建設的な対話の機会を設け、適時・適切かつ公平な情報開示を行い、経営の公正性及び透明性を維持することが重要であると認識しており、当社の経営戦略や経営計画についての理解を促進できるよう経営に関する情報を継続的に提供するとともに、対話によって得られた意見・要望を経営改善に役立てるよう努めています。
そのため、主要事項を次の通りとするIR活動推進体制を整備しています。
- 1.IR部門を設置し、IR担当執行役員を選任する。
- 2.原則として、機関投資家及びアナリストを対象とする決算説明会を四半期ごとに、個人投資家を対象とする会社説明会を毎年開催し、社長またはIR担当執行役員が説明を行う。また、必要に応じて社外取締役を含む取締役及び監査役が出席し、株主との対話を促進する。
- 3.株主との対話を行う場合は、インサイダー取引防止のため、情報の適切な管理を行う。
- 4.グループ経営ビジョン及び中期経営計画等について分かりやすい方法で説明する。
- 5.決算短信及び有価証券報告書等の決算情報のほか、経営情報、株式・株主総会の情報等のIR情報をキッツのウェブサイトに開示する。
政策保有株式
キッツは、「政策保有株式に関する方針」を定めており、安定株主の形成などを目的とした政策保有株式は、原則として保有しないこととしています。
また、「政策保有株式に関する方針」に基づき、毎年、取締役会において、経済的合理性(定量面)及び定性的な保有意義の両面から政策保有株式について検証・見直しを行い、「政策保有株式に関する方針」を満たさないと判断された株式銘柄については、売却を進めることとしています。
さらに、保有する政策保有株式の議決権行使についても、「政策保有株式に関する方針」に基づき、株式発行会社が適切なガバナンス体制を構築し、中長期的な企業価値向上の増大につながる適切な意思決定を行っているかという観点のほか当社グループの企業価値向上の観点も踏まえ、総合的に賛否を判断しています。
純投資以外の保有目的で保有する上場株式の銘柄数及び政策保有株式の対純資産比率の推移

2016年3月期以降、段階的に銘柄数を削減し、2017年3月期以降は、政策保有株式の対純資産比率は、10%以下で推移しています。
なお、2020年3月期以降はUnimech社と資本業務提携のため政策保有株式の対純資産比率は増加しました。
(注)1. 単体保有銘柄数:情報収集のため最小単位株数(1単元)を保有する金額僅少(1百万円程度)銘柄を除く
(注)2. 政策保有株式の対純資産比率(%)=政策保有株式(貸借対照表計上額)÷連結純資産
当社株式の大量取得行為に対する対応
キッツは、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する行為(以下「大量取得行為」という)に対し、次の通り対応することとしています。
- 1.大量取得行為に応じるか否かは、最終的に株主の意思により判断されるものとし、いわゆる「買収防衛策」を導入しない。
- 2.大量取得行為を行おうとする対象者に対し、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の観点から、大量取得行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求めたうえで、当該大量取得行為に対する当社取締役会の意見などを開示することにより、株主が当該大量取得行為の是非を検討するために必要な期間及び情報の確保に努めるとともに、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じる。