シール技術
バルブのシール技術とは
バルブは、円盤状やボール状などの弁体を、弁棒により上下に動かしたり回転させたりして流路を開閉することにより、水やガスなどの流体の流れをコントロールする「流体制御機器」です。 流体の流れを止める際には、弁体をバルブ内の流路の端部(弁座)に接触させてシールします。これを①内部シールと言います。
また、流体には、あらかじめポンプなどにより圧力(流体圧)が加えられており、この流体圧により、流体は上流側から下流側に流れます。 従って、バルブには流体圧に耐える構造、すなわち「圧力容器」として流体を外部に漏らさないシール性が必要です。これを②外部シールと言います。
これらの「内部シール」や「外部シール」に求められる技術がバルブのシール技術です。
極低温から高温まで、低圧から超高圧まで幅広く対応(キッツの強み)
キッツは、お客様の多様なニーズにお応えするため、液化水素用-253℃の極低温から各種プラント用650℃まで、 あるいは家庭用水道圧0.3MPaなどの低圧から水素ステーション用約100 MPaなどの超高圧まで、幅広い製品を提供しています。 これらの製品には、キッツがこれまでに培ってきた基盤技術であるシール技術が生かされています。
超低温用のバルブでは、弁本体や弁体に熱収縮を考慮した形状を採用するとともに、弁座には表面硬化処理や鏡面仕上げを施して、「内部シール」の品質を確保しています。 また、弁棒回りからの流体漏れを防ぐシール部材(パッキン)が、低温に伴って凍結しないよう、その位置を流路から離したロングボンネット構造を採用するとともに、 コストを抑えた製法で「外部シール」の品質を確保しています。
カーボンニュートラルの実現に向けて
「二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする」というカーボンニュートラルの実現には、 水素を身近なエネルギーとして安定的に活用できる環境を低コストで整備する必要があります。
キッツは、大流量を確保できる水素ステーション用の超高圧ボールバルブを日本で初めて開発し、水素の充填をスピーディーに行うニーズにお応えしています。
また、水素ステーションの建設コストの低減や建設期間の短縮に貢献するため、2020年には水素ステーションパッケージユニットの提供を開始しました。
なお、水素を-253℃に冷却することで液化し、体積を1/800にした極低温の液化水素を大量に輸送することは、水素利用環境整備を促進するための大きな切り札です。キッツは、現在、大型の液化水素用ボールバルブの実用化に向けて取り組んでいます。
持続的な成長に向けた取り組み
キッツグループは、パッキンやガスケットなどのシール部材を扱うパートナー企業との共創などを通じて、シール技術の向上に挑戦し続けています。
また、水素社会の実現に向けて、NEDOをはじめとする産官学連携や、水素サプライチェーン形成を推進する水素バリューチェーン推進協議会などにおいて お客様との対話を促進するほか、JAXAなど関係試験機関の協力を得て、その取り組みを加速しています。
更に、カーボンニュートラルの実現に向け、水素のほか、アンモニアやSAF(Sustainable Aviation Fuel)への対応、及びCO₂の有効活用などに向けた取組みにも力を入れています。
これらの取り組みは、日本をはじめ、欧州などキッツグループの海外拠点と連携しており、多様なスキルを取り入れながら、卓越した流体制御機器の提供に挑戦してまいります。